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訃報

朝旦那を見送っていたら、空に低く大きな雲が流れて行った。
なんかすごく近くて早くて、妙に心がざわつく雲だった。
新聞のお悔やみ欄に何気なく目を通したら、なんとなく見知った名前・・・

年齢も、あってる。

急いで旦那に電話してみる。

「ねぇ、○○さんって、□□って名前だったっけ?」
なんともまの抜けた要領を得ない電話。
「お悔やみ欄にのっとるっちゃけど・・・」

仕事を休めない旦那に変わって、通夜に参列。
受付を済ませて祭壇に向かう。

遺影は遠くて見えない。
できれば同姓同名の見知らぬ人であってほしかった。
そしたら、「あ、すいません、人違いでした」ってずうずうしく踵を返して帰ろうと思っていた。

でも。

同姓同名の知らない人、ではなくて。
いつもよりおめかししてすまして写真に写ってるのは
やっぱりよく知ってるあの人。

がんで半年ぐらい入退院を繰り返していたそう。

そばに居ながらちっとも知らなかった。

棺に横たわるその人は
穏やかにまるで眠っているよう

涙が止まらなくてお悔やみの言葉も何を言ったかわからない。

数ヶ月前の息子さんの結婚式の時に写したという写真は、いつもよりちょっと気取って微笑みながらこっちを見てた。

ご冥福をお祈りします。
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